TOP>E-NEWS>平成16年7月1日号 |
電子認証をめぐる現状と課題 3 |
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広がる情報格差 「IT弱者」支援が必要 |
≪受注機会を逸する例も≫ |
社会の急速なIT化が進む中での一つの問題はデジタルデバイド(情報格差)である。 デジタルデバイドとは、大都市と地方都市、大企業と中小企業、高年齢者と若年者、高所得者と低所得者の間で、ITリテラシー(ITを使いこなす技術やノウハウ)に大きな格差が生じるという問題である。 都道府県の中で最も早く電子入札に取り組んだ岐阜県の例で見てみたい。岐阜県では、平成十六年四月から、紙の入札を廃してすべて電子入札に変わった。電子入札に参加するためには、事前に電子証明書を購入して電子入札に参加するためには、事前に電子証明書を購入して電子入札に参加するための電子事業者登録が必要になる。 このとき入札に使う電子証明書の登録も行わなければならない。これまでは参加資格者名簿にさえ登録すれば、事業者ごとに定められた範囲以内の入札に参加できたが、入札が電子化されると別途の電子登録が必要になる。 岐阜県の公共工事入札に参加してきた事業者の数は約三千六百社存在しているが、岐阜県の発表によると、十六年二月末までに電子入札の登録をした事業者の数は千九百九十一事業者に過ぎない。全資格者の五五・三%である。このままだと約千六百社に当たる四五%の事業者が県の公共工事の受注機会がなくなることになる。 |
≪まず建設業界が問題に直面≫ |
電子入札に参加するためには、インターネットに接続されたパソコンと指定された電子証明書を購入すれば参加できるはずである。ところが、実際には新しいパソコンが必要であり、かつ、パソコンが使いこなせて、更に電子認証の知識、電子入札コアシステムアプリケーションの動作習得がないと参加できない。 建設業界は、比較的IT化の進んでない業界であるといわれてきた。その業界が真っ先に電子化の波に洗われたため、デジタルデバイド問題に直面しているように見える。多くの中小建設関係事業者にとって受注の機会が失われるということは、地場産業の振興という視点で考えると非常に問題がある。 |
≪商工会議所の役割は大きい≫ |
デジタルデバイドを解消させることによって解決できるのであれば、商工会議所としても積極的に取り組む必要があるのではないか。 現在、商工会議所では電子認証に関する正しい知識と理解を持ってもらうためのセミナーを開催しており、県の電子入札が、中小企業が参加できる段階まできたいくつかの県では、電子入札のアプリケーションの動作を覚えていただくためのパソコン教室を開始している。商工会議所もこのような新しい環境変化に敏感になり、時代のニーズに応じてサービス内容を積極的に変える努力が必要になってきている。 |
(高野時秀・日商情報化推進部長) |
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