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電子認証をめぐる現状と課題 2 |
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行政手続の電子化 予想超える速度で進展 |
≪6月から電子納税開始≫ |
e-Japan戦略の象徴的なプロジェクトである電子政府・電子自治体の構築稼動が本格化してきている。政府関係機関は平成十五年度末までに多くの手続きの電子化が進み、ほぼ目標を達成できそうに見える。 年間四千九百万件に及ぶ社会保険関係手続きも十五年十月から稼動したし、年間五百万件に及ぶパスポート申請も今年三月から電子化された。さらに六月からは年間二千万件といわれる税の確定申告も開始されることになっている。 行政の動きに合わせて、民間側で今年一月十九日から電子納付システムであるPay−easy(ペイジー) を約千二百の民間金融機関が参加してスタートさせている。電子納税では、このシステムを使って税金を納めることができるようになっており、今後多くの行政手続が手数料や料金の電子納付に利用することになるはずである。 |
≪都道府県で連携する動きも≫ |
しかし、地方自治体、特に市町村における電子化は、予定通り進んでいるようには見えない。このような遅れを解消するために、都道府県単位でシステムの共同開発・共同利用の動きが活発になってきている。総務省の資料によると、県主導で市町村と共同化を目指した協議会などが設置されているところは三十都道府県に及んでいる。その多くは平成十四年以前に設置されていることから、いくつかの都道府県では共同稼動の動きが具体化している。 例えば、静岡県や埼玉県では市町村を含めた電子入札システムの共同利用が平成十六年度からスタートする予定だし、愛知県では各種の申請・届出のシステムを、県が今年七月頃から利用開始し、市町村は来年一月頃から利用開始することになっている。 都道府県で最も早く電子化された公共工事の電子入札においても、九都道府県は十五年度までに開始しており、今年度から新た開始する都道府県も十一カ所に達すると予想されている。また、最も利用される可能性が高い申請・届け出のシステムも、今年度中に三十八の都道府県で実稼動に入ると予想されている。 すでに行政手続のバックボーンとなる総合行政ネットワークは整備されており、現場の窓口となる市町村の準備が整い次第、電子行政手続は開始できる環境にある。IT戦略本部も今回の加速化パッケージのなかで、電子自治体の構築を促進するため、システムの標準化や共同アウトソーシングなども一層強力に推進することを明確にしている。 このような動きを見ると、何も動いていないように見えた市町村の電子化も、あるときから一斉にスタートするようなことになる可能性が高い。携帯電話や電子メールの普及が数年という短い時間で進んだように、ITは動き始めると予想を超えるスピードで普及することがあるので、行政手続の電子化も急に身近なものになるに違いない。 |
(高野時秀・日商情報化推進部長) |
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